体を作る!距離を伸ばす!疲労軽減!ロードバイクの栄養学
スポーツには栄養が不可欠
ロードバイクもスポーツの一つです。
スポーツの世界では栄養管理が必須になり、ロードバイクにおいても栄養管理が大切な要素です。
一昔前には運動中水を飲んではいけない、米を食えば背が伸びるなどよくわからない理論がはびこっていた日本ですが、いまやこれらすべてが嘘だったということは周知の沙汰ですよね。
というわけで今回は、ロードバイクを楽しむ上でどういった栄養がどう働くのかを解説して行こうと思います。
自転車で食事ってそこまで大事?
ロードバイクは競技としてだけでなく、趣味として気軽に始められる時代になりました。
そのせいか交通ルールやマナーの低下も気になりますが、補給や食事の重要性も軽視されてしまっている節があります。
しかし、体を激しく使う以上食事は重要で、楽しむためにも基本的な知識は必要です。
ハンガーノック予防に
あまり他のスポーツでは聞かない言葉ですが、ロードバイクでよくあるトラブルに「ハンガーノック」という症状があります。
簡単に言えば急性の低血糖症で、激しい運動の最中に血糖値が下がり、体が動かなくなってしまうものです。
ランニングや水泳など、長時間の運動ならばなりえるものですが、とくに自転車においては激しい運動をしている自覚が少ないので急にガクッと症状が現れる場合があります。
ひどい場合には目を回して倒れたり、ブラックアウトしてしまう恐ろしい症状ですが、栄養管理さえ怠らなければ防げるものです。
ロングライドの走行距離が伸びる
ロードバイクで100km、200kmと走るロングライドでは、とくに栄養管理が重要になります。
実は初心者がロングライドを走りきれない原因は体力不足よりも栄養管理にあります。
上記した通り自転車での運動は予想外にエネルギーを消費するので、普段の食事だけではエネルギーをカバーできない場合があります。
このため、エキスパートはエネルギー補給や水分補給を怠りません。
もちろんただ好きなものを飲食すればいいわけでなく、適切なものを適切なタイミングで摂取することが有効です。
疲労軽減効果も
とくにロングライドの場合、帰宅したあとには疲労が貯まってしまいますよね。
マッサージや温泉も有効ですが、食事にも疲労軽減効果があります。
温泉やマッサージと合わせて食事に気を使うことでより早く疲労を軽減し、また次の旅に備えることができるので、ロードバイク後の疲労が気になる方は少し意識を向けてみましょう。
基本になるエネルギーは「糖質」「脂質」
最近栄養に興味を持ち始めたひとは、糖質制限ブームでさも糖質が悪者かのように思ってしまうかもしれません。
ただ、これは無造作に食べるから悪いだけで、本来必要で優秀な栄養素です。
また、脂質も贅肉のイメージがあるので悪者に見えますが、とくにロングライドにおいては重要な栄養素です。
まずはこれらの働きを確認してみましょう。
糖質は補給して常に十分に
糖質は、砂糖やフルーツなどはもちろん、ご飯や米、麺やパンなど炭水化物にもおおく含まれています。
糖質は筋肉を動かす他、脳のエネルギーにもなっています。
このため、急に欠乏すると脳にも筋肉にもエネルギーが行き渡らなくなりハンガーノックに陥ってしまいます。
重要なエネルギー源ですが、体に蓄えられる量はあまり多くありません。
体重などにより増減しますが、おおくて400g、カロリーにして1600kcalしか蓄えられません。
運動強度にもよりますが、これはおおよそロードバイクで五時間走れば枯渇する量です。
もちろん五時間なら無補給でも走れるという意味ではなく、脳や消化器官が消費する分など運動以外での消費もあり、一概にこのカロリーのみ消費しているわけではありません。
ベストな状態で走るのであれば減らした分補給する必要があります。
このため補給食や、休憩時の適切な補給が必須になります。
ロングライドでは脂質が主なエネルギー源
脂質は肉や魚の脂肪、ナッツなどに含まれる植物性の油にも多く含まれています。
単純に筋肉を動かす場合は糖質が主なエネルギー源ですが、ロングライドの場合は脂質を優位に消費していきます。
無酸素運動は筋肉トレーニングや瞬発力を必要とする短距離走など、負担の大きい運動のことです。
無酸素運動は主に糖質がエネルギー源となりますが、多く蓄えられないことから長時間続けることは困難です。
たいして有酸素運動はジョギングなどの運動強度の低い運動のことで、ロードバイクのロングライドの場合はこの有酸素運動の状態が望ましいとされています。
有酸素運動の場合は主なエネルギー源が体脂肪で、体脂肪は糖質よりも多く体に蓄えられるので長時間の運動は有酸素運動のほうが続けやすいからです。
有酸素運動においてもはじめは糖質優位ですが、20分を目処に体脂肪優位のエネルギー源に変わると言われています。
極端に体脂肪率が低くなければ通常枯渇することはないので、どちらかというと体脂肪をエネルギーとして使いやすくするようビタミンなどを十分に摂取しておくとよいでしょう。
筋肉を作るたんぱく質
運動をすれば筋肉を多少なりとも損傷しています。
とくに初心者は筋肉が足りていない場合が多く、損傷もひどくなります。
筋肉痛は負荷の大きい筋トレなど運動強度の高い無酸素運動で起きやすいですが、強度の低い運動でも起こりえますし、痛みがない場合にも消費や損傷は起こっています。
このような筋肉の損傷を回復させるために必要なのがたんぱく質です。
筋肉のみならず皮膚や細胞の元にもなっているので、日ごろからある程度摂取することが好ましいですが、特に運動後には十分摂取するようにしましょう。
消費が激しいビタミン・ミネラル
ビタミン、ミネラルはエネルギーになることはありませんが、体調を整えたり、ものによっては体を作る大切な栄養素です。
車で例えるならエンジンオイルのようなイメージです。
とくにスポーツを好むアスリートには重要な栄養素なので、忘れず摂取しましょう。
体力を維持するミネラル
ミネラルはカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄など体に有用な無機質のことです。
アスリートは、特に鉄やカルシウムが重要になります。
これは運動時に酸素を取り込み、体にいきわたらせるヘモグロビンを構成しているのが鉄で、運動時に体を支える骨はカルシウムが構成しているからです。
また鉄は汗で失われていくので、消耗が激しいミネラルです。
ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどは電解質といわれ、筋肉の動きを正常に保つ働きがあります。
これらも汗で失われていくので、電解質を含むスポーツドリンクなどでこまめに補給するようにしましょう。
エネルギーを使いやすくする作用もあるビタミン
美容関係などでもうおなじみのビタミンですが、実はスポーツにも重要な役割を担っています。
とくに重要なのがビタミンB群で、糖や体脂肪、たんぱく質の代謝に必要なビタミンです。
ビタミンB群が不足してしまうと、しっかりカロリーを摂取したはずなのにエネルギー切れを感じてしまうこともあります。
摂りすぎ厳禁バランスを大事に!
今回まずはそれぞれの効果を確認しましたが、たくさん食べたからといって効果が倍増するものでもないのでどれも摂りすぎ厳禁です。
たとえば糖質は糖尿病、脂質は体重増加や成人病、ビタミンミネラルにも過剰摂取で体に不調をきたすことがあります。
運動量や体質にもよるので一概に言えないですが、それぞれ不足しないよう、かつ過剰になりすぎないよう注意して食事の中で意識してみてくださいね。