自転車ダイエット企画|筋トレは有効だが、ロードバイクのロングライドには落とし穴も!
最近「ダイエットは有酸素運動より無酸素運動!」という説をよく聞くようになりました。
実際無酸素運動、特に筋トレは有効で、僕も食事制限と合わせて実践し効果を実感しています。
しかしロードバイクとの親和性はどうなのかと言うと、少々注意が必要です。
というわけで今回は自転車ダイエット中における筋肉トレの有効性と注意点について考えてみようと思います。
↑この記事で書ききれなかったことを細く記載していくシリーズです。(集約しすぎて表現が適切でなかったので)
理論はしっかり調べた上でご紹介しますが、紹介する具体的な減量方法はあくまで自分が実践したなかで効果があった考え方なので、誰にでも最適というわけではありません。
筋トレはダイエットに有効である
いきなり核心を突いてしまいましたが、筋肉トレはダイエットに有効です。
胆振東部の震災で食べ物に贅沢をいえない状況が続いたので一時サボっていましたが、ダイエット開始時から10kg減をキープしています。
地震の片付けなんかもあっていつもより体を動かしていたのもありますが、なかなか順調といえるのではないでしょうか。
とはいえ、肉や魚の流通が止まったことで一番重要な食事制限(高たんぱく低糖質)をやめていたので、ここで酷くリバウンドするかと思ったんですがほぼリバウンドがなかったのはやはり筋トレの成果ではないかと思っています。
ダイエット後のリバウンドは大半が筋肉
ダイエットといえばやはりリバウンドが付き物です。
がんばってダイエットをして、やめたと単にリバウンドして二度とダイエットをしないと誓った方も多いのではないでしょうか。
実際僕も過去に15kg落として、1ヶ月で10kg戻った経験があります。
別な記事でも書きましたが、実はこれほとんどが筋肉に原因があります。
以前も紹介しましたが、筋肉は体を動かすだけでなくたんぱく質の緊急用貯蔵庫でもあります。
つまり無理な食事制限でたんぱく質が枯渇すると、筋肉が分解されたんぱく質(アミノ酸)として生命維持のために使われてしまうのです。
これが彼の言う「筋肉が体に喰われちゃう」ということですね。
で、この減った筋肉は筋トレによってのみ戻るわけではなく、必要最低限の筋肉量には勝手に元に戻るようになっているんです。
このため、たとえば「野菜だけ食べる」という無茶なダイエットや、「サプリで必須ビタミンだけ取る」なんていう前時代的な食事制限をしてしまうと、ダイエットをやめたとたんに筋肉量が元に戻り、リバウンドするというわけです。
辛い食事制限の結果、大して脂肪は落ちずに筋肉がバンバン落ちていくというわけです。
筋肉量を維持すればこういったリバウンドすることなくダイエットが可能ですが、食事も大切になります。
ここら辺のお話はこちらで
筋肉量を上げることで基礎代謝アップというまやかし
筋トレをしてしっかりたんぱく質を補給すれば筋肉量は増えていきます。
筋肉は脂肪(から生成されるエネルギー)と糖をばんばん消化してくれるので、筋肉量アップはダイエットに効果的と言われますよね。
自動車のエンジンと考え方は同じで、ガソリンをバンバン飲み込む排気量が大きいエンジンを積んでいればエネルギーを多く消費してくれるという理論です。
「筋肉が増えるとボディラインを崩してしまうからイヤだ!」という女性が多いようですが、筋肉を大きくすることを舐めないで頂きたい(笑)
なんたらトレーニングのAYAさんも、あれだけハードなトレーニングをしていて筋肉ゴリラにはならず、むしろ美しいボディラインを保持していますよね。
察しのいい方はお分かりの通り、このことからも「筋肥大で基礎代謝アップ」という説には疑問が残ります。
筋肉はそんなに簡単に大きくなりません。ボディビルダーは相当な年月を相当な節制とトレーニングであのサイズになっているだけで、素人が気まぐれ筋トレでああはなれません。
つまり、筋肉はそんなに簡単に増えないんです。
筋肉量に変化がないということは、代謝も変わらないということ。
もちろんわずかでも増えれば代謝は増えますが、たとえばおにぎり1個分の基礎代謝を上げようと筋肉量を増やそうと思ったら相当な努力が必要ですし、筋肉を増やす段階でのエネルギー摂取でダイエット効果がほぼ無くなるという矛盾も発生してしまいます。
なので、筋肉量を増やして脂肪をより燃焼させようという考え方は一旦捨てましょう。
じゃあなぜ筋トレをするべきかというと、筋肉量を保持するため。
筋肉はダイエットで減っていく危険があることは前述したとおりで、減ればもちろん代謝は落ちます。
そこで筋肉に刺激を与えて、筋肉は必要だと体に気付かせることが有効なのです。
ダイエットにありがちな停滞期も筋肉が減ることが原因になるので、筋トレを併用していれば全く減らなくなるということはほとんどありません。
もちろん筋肉も細胞なので随時代謝されていき、筋トレするだけでは筋肉は維持できないので、筋肉の原料になるたんぱく質の摂取もお忘れなく。
筋肥大のための食事に関してはまたいずれお話します。
代謝を考えると筋トレすること自体が大事
筋肉量で代謝を上げるのは少しナンセンスですが、筋トレで代謝は上がります。
何を言っているかわからないと思いますが、ちょっと解説してみましょう。
筋トレなどの無酸素運動には、実際に物を持ち上げるなどの運動での消費カロリーの後にも、筋肉を回復させるためにエネルギーが使われるので代謝が上がるんです。
これを「アフターバーンエフェクト」や「運動後過剰酸素摂取量(EPOC)」と言います。
これお得なのが、回復のための作用なので大して動かなくても代謝が上がっている状態が続くんです。
時間当たりの消費カロリー自体は走ったほうがはるかに多いんですが、運動強度によっては最大3日間代謝が上がった状態が続きます。
正直消費カロリー自体はアフターバーンのための筋トレ、その後3日間の消費カロリーを合わせても微々たる物ですが、無理のないダイエットをしようとすると長期間に及ぶので、定期的に行えばその効果も大きくなります。
なので、昨今のダイエット筋トレ有効論ではこのアフターバーンエフェクトこそが筋トレを勧める最大の理由として紹介されています。
しかしデメリットも確実にある
いいこと尽くめの筋トレダイエットですが、もちろんデメリットもあります。
特に自転車乗りには無視できない大きなデメリットがあるんです。
筋肉は動力源(エンジン)である
上の例でもお話したとおり、筋肉量が増えれば代謝が上がります。
筋肥大させる効果はそれなりですが、間違いなく代謝は上がります。
まさにエンジンと同じで、660ccの軽自動車のエンジンと、2000ccのスポーツカーのエンジンではパワーが違いますよね。
筋肉は体を動かすためのものなので、大きくなれば重たいものを持ち上げられます。
しかし、人間に置き換えると問題が発生します。
人間でもエネルギー不足は起こりますよね。
無限に動いていられるわけではありません。
大きいエンジン(筋肉)を積んでいれば、人間でも同じく燃費が悪くなるんです。
有酸素運動は非力だが長時間動ける運動、無酸素運動はハイパワーだが短期的な運動です。
ただこれは違う筋肉を使っているわけではなく、運動強度(負荷)が違うだけで、同じ筋肉を使っています。
つまり、筋肉が大きくなれば燃費が悪くなり疲れやすくなるというわけです。
酸素不足が疲労の原因
エネルギーというと糖をイメージするかと思います。
実際、筋肉や肝臓に溜めている糖が切れると疲労に繋がります。
しかしもうひとつ重要なものがありますよね。
酸素です。
ロングライドなどの有酸素運動では、当初糖をメインに消費し、その後脂肪からエネルギーを生成します。
そのためには酸素が必要になります。なので有酸素運動と言われるわけですね。
最大酸素摂取量(VO2Max)というのがひとつの指標になりますが、筋肉量と比例してこの数値が低くなるというのが実験によってわかっています。
補給などでもエネルギーは摂取できるので、最大酸素摂取量が悪いからそのまま持久力に直結するというわけではないですが、デメリットになることはたしかといえるでしょう。
筋肉量が増えるとロングライドは不利!
つまり自転車におけるロングライドにおいては、筋肉量が増えれば増えるほど辛くなるんです。
「鍛えて不利になるなんてそんな馬鹿な」と思うかもしれませんが、これはプロスポーツの世界では常識です。
プロ野球の先発投手は筋肉を無駄に付けませんし(怪我防止の意味も強いですが)、特にロードレースの世界では顕著で、筋肉を必要以上に付けない為に食事制限とトレーニングを調整しています。
ロードレーサーのランス・アームストロングはデビュー当初筋肉量が多すぎることを指摘され大成しないと言われ、ドーピングに手を出したといわれています。
同じ自転車に乗る競技である競輪では選手はみなパンパンのたくましい下半身をしていますが、これは競技の特性上、無酸素運動である短距離の爆発力を重視するからです。
とはいえ趣味乗りにおいては無視していいかも?
ただ、だから筋トレをやめようというのはちょっと待って考えてみましょう。
筋肉量はまずそんなに増えません。肥大化させようとしてもそう簡単に増えるものではないんです。
次に、仮に増えたとしてそこまで楽しみに影響するでしょうか。仮に距離が10%減ったとして、そこまでの弊害が出るとは思えません。
もちろんプロの方や実業団の方なら気にして欲しいところですが、そもそもそのレベルの人がダイエットをする体型とも思えません。
最近では持久力を補助するサプリも多いですし、そもそも持久力をアップさせるトレーニング方法も確立されています。
筋肉を減らす方法は簡単なので、ダイエットをしなければならない、できれば自転車を利用しながらダイエットをしたいという方も筋トレをして、もし筋肉が増えすぎてしまったら落とすというイメージでも問題ないでしょう。
もちろん筋トレ以外のダイエットも可能です。
次回はその辺に関して触れていければと思います。